相続についてちょっとでも気になることがある人は、まずこの本から。
本書は、相続対策の実務よりも、まずは相続を知るために「読む」ことを意識した相続エッセイです。相続は発生してからではなく、準備が大事だということに気づいてもらい、相続は自身の生活にどれくらい関わりがあるのかを考えてもらうことを目的にした本です。
全国に点在する空き家の問題、司法書士の仕事や「争族」の対策を切り口に相続の基本的な知識を俯瞰し、相続にとって重要と言われる遺言書のこと、土地や家の名義を受け継いでいく相続登記の重要性を考えます。また信頼できる人に財産管理を任せる民事信託・家族信託についても、認知症などさまざまな状況をふまえた「使用例」を紹介し、その有益性に言及します。
そして、随所にある著者自身の私生活で体験した出来事や司法書士業務の経験をベースに書かれた事例も本書の大きな魅力です。相続の「浅い」部分から「深い」ところまで理解できる解説も豊富ですが、その中で本文中の事例は読者にとって相続をより身近に感じる手がかりとなるはずです。
本書をつうじて「本当に財産はないのか」「お金がないから関係ないのか」「遺言書はいつ必要なのか」「民事信託・家族信託はどのくらい使えるものか」など、自身の生活と「相続」との距離感を考えてもらいたい。そして、「遺言書があればこんなことに……」「家の名義変更に、こんなにも苦労するなんて……」という事前の準備を怠ることで発生するケアレスミスならぬ「ケアレス相続」を少しでも減らして、「ケアフル相続」があふれた社会へ。
相続についてちょっとでも気になることがある人を中心に、いまの自分の生活と相続はまったく関係ないと思っている人や、今まさに、相続の世界にどっぷり浸かっている人にも参考にしてもらえるはずです。
【著者紹介】
上村拓郎(Takuro UEMURA)
1976年岐阜県生まれ。同志社大学法学部卒業。司法書士(簡裁訴訟代理等関係業務認定)、家族信託専門士、民事信託士、終活カウンセラー。
優司法書士法人 代表社員(https://www.you-office.com/)